コラム

シェールガス革命は環境を破壊する!? [2012/02/01]

 

日本のエネルギー自給率はわずか4%というのは、この1年で急速にエネルギー問題に関心が高まった皆様なら
当たり前のことかもしれません。
 
では、米国のエネルギー自給率はどのくらいかご存知でしょうか?

 

広大な大陸を持ち、アラスカやメキシコ湾など原油も採掘できるため自給率が高そうにも思えますが、
一方で世界でも有数のエネルギー消費国でもあり、アラブの産油国に対して支配力を強める姿からも
自給率はそれほど高くなさそうにも思えます。
 
実は米国の自給率は70%以上にもなります。
 
 
以下に日本に自前資源が少ないか、いや、少ないというより自前資源を開発しようとする意欲が少ないかわかります。
 
さてこの米国でここ数年で大きなエネルギー革命が起こっています。
 
「シェールガス」と呼ばれる地下に眠っていた天然ガスの開発です。
 
 
「シェール」とは頁岩(けつがん)と呼ばれる岩石層のことで、この岩石層の中に溜まっているガスをシェールガスと呼びます。
 
シェールガスの埋蔵量は現代の消費量でみれば石油に代替するほど多いとされて有望視されていましたが、
採掘にコストがかかるために眠ったままになっていました。
 
 
ここ数年で原油価格が高騰し始めたことで採算性が高まり、また、「水圧破砕法」と呼ばれる採掘方法が普及したことで、
米国を筆頭に世界の多くの国々でシェールガスの開発が始まっています。
 
 
特に米国では埋蔵量が多く、エネルギー安全保障のためと、もちろん利益獲得のためにシェールガス開発に躍起になっているようです。
 
 
先日オバマ大統領の一般教書演説でも、「自国資源を最大限にするためシェールガス開発を強靭に進める」と発表しました。
 
 
ところが、このシェールガス開発には陰の側面があります。
 
 
先日紹介したドキュメンタリー「ガスランド」で紹介されていました。
 
 
シェールガスを採算性のよい「水圧破砕法」で採掘すると、化学物質が放出されたり、地下水を汚染する危険性が指摘されています。
 
 
私の理解では「水圧破砕法」とは固い岩石中からガスを取り出すために地中にパイプを通し、
そのパイプの中に粘性の高い化学物質の液体を流し込み、高い圧力をかけます。
 
すると岩石にひびが入ります。
 
このひび割れを固定して岩石中に溜まったガスを採掘するという方法なのですが、
この流し込んだ液体の一部が回収できずに地下水を汚染したり、あるいは岩石中のガスが思わぬところから地上に出ることで
飲料水が汚染されて健康に害毒となったり、ひどい例では水道の蛇口に火をつけると燃えるという事件が
起こっているというのです。
 
 
自国エネルギーの開発や利益確保に執念を燃やしすぎ、環境汚染や健康被害をもたらしたり、
またその住民を金でねじ伏せるような悪質な事態となるのは、昔から21世紀の今も変わらないようです。
 
 
昨年歴史に残る環境汚染を体験した私たちの日本ではこのシェールガスの可能性はありませんが、
再生可能エネルギーの普及でも土地利用の問題や風力発電の低周波問題がありますし、
最も可能性の高い地熱発電も環境保護の規制の問題があります。
 
東シナ海に眠る石油や天然ガス、またメタンハイドレードなど日本にも多くの自主エネルギー開発の可能性が眠っています。
 
 
エネルギーの開発と環境汚染はいつも背中合わせの問題です。
 
 
米国のエネルギー開発の現状から、エネルギー自給率の向上にもっと力を入れなければならないことを感じると共に、
環境破壊を最小限にしながらも安全、安心で低価格なエネルギー開発を行わなければならないことを感じました。
 
 
米国だけでなく、カナダや中国、インド、ポーランド、ロシアでもこのシェールガスの開発はますます加速していくでしょうし、
日本の商社も各国で権益確保に動いています。
 
他人事ととらえずに注意して見守っていきましょう。
カテゴリ: 今週のニュース

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